オリクスとクレイク

テクノロジーの暴走により滅亡した世界を生きる、地球最後の人間『スノーマン』の回想録。と、あらすじだけを聞くと、SF以外のなにものでもないような気がしますが、アトウッドによるとSFではなくスペキュレィティブ・フィクションだそう。スペキュレィティブ・フィクション自体がSF、ファンタジー、ホラー、マジック・リアリズムなどを包括したジャンルなので、昨今の超ジャンルのトレンドを牽引する作家ならではです。

アトウッドの小説はとにかく恐い。甘ったれた感傷を許してくれない厳しさがあります。(「この人が母親じゃなくてよかった」、と思わせる何かがあります。)『クレイクの子供たち』と呼ばれる遺伝子操作されたネオヒューマンたちや、やはり遺伝子を書き換えられた動物たちの描写など、グロテスクで残酷でありながらひどく美しいのはやはり詩人ならでは。が、正直その美しさが翻訳しきれてない印象が。松田青子さんとかで読みたいです。最後のオチがあまりにも突然過ぎて、登場人物が何故そのような行為をするに至ったのがあまりピンと来なかったのですが、(「クレイク、お前そんなことするキャラじゃないだろう!」みたいな)三部作の一部目なので、今後ゆっくりと説明されていくのでしょうか?設定は本当にありそうで面白いし、アトウッドの自然への愛も感じられるのはいいですね。でも、この作家を全部読みたいうわけではないなら『侍女の物語』だけ読めばいいかな。

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PR・翻訳家・読書狂、今泉渚の妄想書店です。個性的な仲間たちとゆるくブックレビューを書いています。

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