天国でまた会おう

以下、この本を読んで感じたこと。


面白い本について面白いって言っても何の説明にならないのは分かっているけど言いたい。面白かった!まさか2015年になって19世紀文学の新作、それも傑作を読めるなんて、生きててよかった。主人公は戦場で生き埋めにされたアルベールと彼を救ったことにより顔の半分を失ってしまったエドゥワール。二人は戦後のパリである計画を企てるのですが、アルベールの宿敵、(あまりにも悪いヤツ過ぎてほとんど冗談のようになっている素敵キャラ)プラデル大尉の思惑なども絡み、物語はドライブ感たっぷりに予想外の方向へ展開します。

例えば、プラデルが悪いヤツ過ぎたり、アントナプロス(なんとカーソン・マッカラーズの『心は孤独な狩人』から取ったそう!)の使い方が雑だったり、マドレーヌが突如勝手なセリフをしゃべりだしたり、と突っ込みどころは確かにいっぱいあるのだけど、やっぱりこの本の一番の魅力はルメートルの本に対する愛が溢れているところだと思う。作者のあとがきに『この作品には、さまざまな作家から借用した部分がいくつもある』と書いてあるのだけど、ああ、この人本当にたくさんの本を読んできて、物語を楽しみ、そして作家たちを敬愛してきたんだなということが伝わって来てジーンとする。ある意味、この物語は文学に対するラブレターで、本に対する愛を再確認させてくれるのです。そして本棚にある(ありますよね!?)バルザックとかスタンダールを読み直したくなること間違いありません。また、この本を読むことで、古典を読み出したりする若い人がいたりするのかなと思うとドキドキしてしまいます。

ツルゲーネフの『初恋』で「もう、この子は小説ばかり読んで」とヒロインがお母さんに怒られているシーンがあるのですが、小説って今のマンガみたいな感じだったんですよね。文学を読むことって今や高尚なこととされてるけど決してそんなことはなくて、詰まるところ単なるエンターテイメントなのではないでしょうか。「何で本を読むか?」って面白いからで、「だったら映画でもいいじゃん」とも言われるけれど、本でしか味わえない楽しみというものがあって、それを享受しないのはもったいない!だから私は本を読むのです!(とか宣言したくなる本なのです!)

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PR・翻訳家・読書狂、今泉渚の妄想書店です。個性的な仲間たちとゆるくブックレビューを書いています。

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