2015.12.04 11:25カメレオンのための音楽天才的な才能を持ち、セレブや上流階級に囲まれ、地位も名誉も欲しいままにしていたにも関わらず、アルコールと薬物に溺れ、孤独の中で死んでいったカポーティ。華やかで美しく軽薄な世界を愛しながらも、そこに心から属することができなかった、そんな疎外感こそがカポーティの小説を特徴づけていると...
2015.12.03 07:15天国でまた会おう以下、この本を読んで感じたこと。面白い本について面白いって言っても何の説明にならないのは分かっているけど言いたい。面白かった!まさか2015年になって19世紀文学の新作、それも傑作を読めるなんて、生きててよかった。主人公は戦場で生き埋めにされたアルベールと彼を救ったことにより顔の...
2015.12.03 05:35オリクスとクレイクテクノロジーの暴走により滅亡した世界を生きる、地球最後の人間『スノーマン』の回想録。と、あらすじだけを聞くと、SF以外のなにものでもないような気がしますが、アトウッドによるとSFではなくスペキュレィティブ・フィクションだそう。スペキュレィティブ・フィクション自体がSF、ファンタジ...
2015.12.02 07:12リザベーション・ブルース「十字路で悪魔に魂を売り渡して、その引き換えにテクニックを身につけた」という伝説のギターリスト、ロバート・ジョンソン(しかも27歳で毒を盛られて死亡)のギターがキャラクターとして出てくると聞くと、単なる荒唐無稽な物語だと思うかもしれないけれどとにかく面白いのです。ダメなヤツしか出...
2015.12.01 06:11忘れられた巨人カズオ・イシグロの十年ぶりの新作はなんとファンタジー!ということで注目の本書は、記憶と歴史と愛と憎しみの話。まさにタイムリーな話題を主題にしているのは、さすがカズオといったところ(馴れ馴れしい)。記憶がなかったら、愛もないけど憎しみもないよね、っていう話なのだけど、現代を舞台にし...
2015.11.30 11:12服従読み終わって、呆然としながら、自分にこう言い聞かせなければならなかった。「これは小説であって現実ではないんだ」と。「こんなことは起こらない‥‥たぶん‥いや、もしかしたら」──高橋源一郎(作家)批評というより、思ったことをダラダラと。以下、ネタバレ注意。“La tolérance ...
2015.11.30 07:54悲しみのイレーヌ『その女アレックス』が面白かったので、こちらも読んでみました。ルメートルさんは、なんといっても文章が上手い!この筆力で書いたら、どんな物語も面白いのではと思ってしまうぐらい凄いのです。(ゴングール賞を受賞した最新作の『天国でまた会おう』はバルザックの『人間喜劇』並みのドライブ感。...