2015.12.21 07:17アメリカン・サイコ内容があまりにもモラルに反すると300,000ドル(当時で4千万ぐらい)の契約金が前払いされていたにも関わらずSimon and Schuster が出版をキャンセル、『女の拷問とバラし方入門書』と作品を揶揄したフェミニスト団体がボイコットを呼びかけ、どうにか出版されたものの名だ...
2015.12.17 02:09対岸水声社「フィクションのエル・ドラード」中の一冊として2014年に出たコルタサルの処女作品集。教職にあった時期(1937~45年)に書かれた短編13本に加え、1963年に行われた講演も収録されている。一読、怪奇幻想の味が強く、創元推理文庫の「怪奇小説傑作集」なんかに入っていても違和...
2015.12.17 01:54BRUTUS『夢中の小説』BRUTUS(12月15日発売)で書評を書かせて頂きました。世界文学の昨今のトレンドである『超越ジャンル』をテーマに7冊の本を紹介しています。読書狂はもちろん、普段本を読まない方にも興味を持って頂けるきっかけになれば自称「本のPR」として嬉しいです。今年の特集『夢中の小説』は、去...
2015.12.14 15:17いちばんここに似合う人おしゃれで、才能があって、しかも旦那さんがマイク・ミルズという人類最強女子、ミランダ・ジュライ。そんなすべてを持っているのにも関わらず同性に好かれるのは、コンベンショナルな美人じゃないからだと思う。なんだろう、圧倒的な男ウケはしなさそうな、好きな人がかちあっても大丈夫そうな、理想...
2015.12.14 12:44むずかしい愛カルヴィーノのリアリズム路線短編集。まず目に留まるのが各編のタイトル。「ある兵士の冒険」から始まる12篇はすべて「ある○○の冒険」で統一されている。しかし、冒険と呼べそうな出来事はいっさい起こらない。徹頭徹尾ささいな日常の一場面にだけスポットを当てつづけている。だから「ある海水浴...
2015.12.10 11:13都市ウエルベックがお気に入りとして紹介していて、気になって買って読んで、それから私も大好きになった、クリフォード・D・シマックの『都市』。『存在の耐えられない軽さ』のカレーニンとか、『ある島の可能性』のフォックスとか、小説に出てくるお気に入りのワンちゃんはたくさんいますが、この小説の...
2015.12.08 14:58巨匠とマルガリータ「『巨匠とマルガリータ』? いい本ね。魔女とビューーーーティ・クリームの話よ。魔女とビューーーーティ・クリーム」と、夏の表参道のルーフトップ・バーでロシア人のゲイのサラリーマン(確か名前はイゴール)が言っていたのが印象的な本書。発禁処分を経て作者の没後26年後だかにやっと日の目を...
2015.12.07 06:24コレクションズ今世紀を代表する作家でありながら日本ではあまり有名ではない作家、ジョナサン・フランゼン。”Great American Novelist” として、2000年のスティーブン・キング以来十年ぶりにタイム誌の表紙を飾ったりしています。(メガネで銀髪で鼻の下が長くて、シャイな感じがとて...
2015.12.04 13:03シェル・コレクターまず私の新潮クレスト・ブックスに対する愛を伝えたい。本文用紙のどこか懐かしい風合い、目に優しい落ち着いた色味、そして本を読むペースにぴったりマッチする行間や余白のスペースの取り方まで、並々ならぬ本への愛情が込められていること、感じてますよ!そして何と言っても翻訳がいい!作品のチョ...
2015.12.04 11:25カメレオンのための音楽天才的な才能を持ち、セレブや上流階級に囲まれ、地位も名誉も欲しいままにしていたにも関わらず、アルコールと薬物に溺れ、孤独の中で死んでいったカポーティ。華やかで美しく軽薄な世界を愛しながらも、そこに心から属することができなかった、そんな疎外感こそがカポーティの小説を特徴づけていると...
2015.12.03 07:15天国でまた会おう以下、この本を読んで感じたこと。面白い本について面白いって言っても何の説明にならないのは分かっているけど言いたい。面白かった!まさか2015年になって19世紀文学の新作、それも傑作を読めるなんて、生きててよかった。主人公は戦場で生き埋めにされたアルベールと彼を救ったことにより顔の...
2015.12.03 05:35オリクスとクレイクテクノロジーの暴走により滅亡した世界を生きる、地球最後の人間『スノーマン』の回想録。と、あらすじだけを聞くと、SF以外のなにものでもないような気がしますが、アトウッドによるとSFではなくスペキュレィティブ・フィクションだそう。スペキュレィティブ・フィクション自体がSF、ファンタジ...